神話の力より インドラの話
~ 創造神ブラーマは聖なるエネルギーと聖なる恩寵のシンボルである蓮の上に座っています。その蓮はヴィシュヌーのへそから伸び育っています。
ヴィシュヌーは眠っている神であり、彼の夢が宇宙なのです。
~ 「ヴィシュヌーは広大無辺の海で眠っており、彼のへそから宇宙の蓮が生えている。蓮には創造者ブラーマが座っている。
ブラーマが目を開けるとひとつの世界が生まれ、それをひとりのインドラが支配する。ブラーマが目を閉じると、ひとつの世界が無くなってしまう。
ひとりのブラーマの命は43万2千年だ。彼が死ぬと、蓮はしぼみ、別の蓮が伸び、別のブラーマが生まれる。
それに考えてみろ。無辺の天空には天の川のかなたに天の川が数限りなくあり、その星のそれぞれに蓮がありブラーマがそれに座って目を開き、また目を閉じている」
~ 「わしの名は<毛むくじゃら>。家は持っておらん。家を持つほど人生は長くない。持っているのはこの傘だけよ。家族もおらん。
わしはただヴィシュヌーの足下で瞑想し、永遠について、時のはかなさについて考える。
のう、ひとりのインドラが死ぬたびに、ひとつの世界が消滅する。すべてあっという間の出来事じゃ。
ひとりのインドラが死ぬたびに、円く生えておるこの胸毛の1本が抜け落ちる。もう毛の半分がなくなりおった。じきに全部抜け落ちてしまうじゃろう。人生は短い。なんで家を建てることがあろう」
そこで二人は消えた。若者は保護神ヴィシュヌーであり、老いた行者は世界の創造者であり破壊者でもあるシヴァだった。
インドラは歴史上のひとりの神に過ぎないのに、おのれは全能だとうぬぼれていたので、シヴァは教え諭しにきたのだ。
そういうわけで、私どものひとりびとりが、それぞれの生涯におけるインドラなんですね。だれでも選択することができる。捨て身で森にこもって、瞑想三昧に暮らすもよし、現世にとどまって、政治という支配者にふさわしい責任と業績を、また、妻や家族とにお愛の生活を尊重しつづけるもよし。とにかく、これはとてもよい神話だと思います。