続・風のとおり道

自己探求と不思議なこと、ヘミシンクの記録です。

神話の力より、アリアドネの糸

モイヤーズ 私は、先生がテセウスアリアドネの古い神話についておっしゃっていることが好きです。テセウスアリアドネに、「もし迷宮ラビリンスから抜け出る方法を教えてくれたら、永遠にあなたを愛します」と言うんですね。

そこで、アリアドネは彼にひと巻きの糸玉を与えた。

テセウスは、糸をたどって出てきた。先生はこうおっしゃっています。-----「彼が持っていたのは糸だけだった。あなたに必要なのもそれだけだ」と

 

キャンベル 必要なのはそれだけですよ。アリアドネの糸

 

モイヤーズ ときどき私たちは、ほんとうはひと巻きの糸だけが必要なのに、莫大な富とか、力とか、偉大な思想などに救いを求めることがありますね。

 

キャンベル その糸がいつも簡単に見つかるとは限りません。しかしだれか、手がかりを与えてくれる人がいるとずいぶん助かります。あなたが自分のアリアドネの糸を見つけるのを手伝うのが教師の仕事です。

 

モイヤーズ 他の英雄たちと同様、ブッダも、真理自体を示すことはしませんでしたね。ブッダは真理に至る道を示した。

 

キャンベル だが、その道はブッダのではなく、あなた自身の道でなくてはなりません。

ブッダは、例えば、あなた独自の恐怖を取り除く具体的な方法を教えることはできない。教師たちはいろいろな訓練が役立ちそうだと示唆してくれるかもしれないが、それがあなたに有効なものとは限りません。教師にできるのは示唆することだけ。

教師は灯台みたいなものですね。

「そこに岩礁があるぞ。だが、こっちには水路があるからそこを通れ」と言うんです。

 

あらゆる若い人たちが生きていくうえで大事な問題は、可能性を示唆してくれるようなモデルを持つことです。ニーチェは、「人間は病める動物である」と言っています。人間は自分をどう扱ったらいいのかわからない動物です。

 

その精神は多くの可能性を持っているけれども、私たちはただ一度しか生きられません。私たちは自分をどうするつもりなのか。生きている神話は、その時代にふさわしいモデルを与えてくれるのです。