古代メソポタミアの空 Part 3 ヒョウ
ヒョウ
研究本から
北天の星座のまわりをとりまく星座を紹介していきましょう。
私たちが知っているアフリカやアジアの各地に広範に分布する実在の肉食獣とはまったく違うもので、ヒョウのようなネコ科の猛獣の頭と体、前足を持ち、ワシの翼と脚、尾羽を組み合わせた空想上の動物です。
英語で Panther とよばれるためヒョウと訳していますが、その姿が実際のヒョウとはあまりにもかけ離れているために、「有翼のライオン・ドラゴン (winged lion-doragon) や「ライオン・グリフィン (liom-griffin) 、「ライオンのような鳥の怪獣 (leonine bird doragon) などともよばれていました。
ヒョウは、「嵐の悪魔」として冬の嵐を象徴する怪物と考えられ、しばしば、暴風神であるアダト(Adad)神や、イシュクル(Iskul)神と関連付けられていました。
ヒョウの星座は、シュメール語で(ムル)・ウドゥ・カ・ドゥク・ア(Mul) Ud-Ka-Duh-A) と記されます。
アッカド語における星座の名も、シュメール語に由来すると思われるウカドゥクカ (ukaduhha) ですが、占星術のテキストでは、アッカド語で、ヒョウを意味するニムル (nimru) と訳されるためにこの名があります。
この星座は、はくちょう座、とかげ座、カシオペア座とケフェウス座の部分にあたると考えています。
おわり。