続・風のとおり道

自己探求と不思議なこと、ヘミシンクの記録です。

ハロウィンナイトに小惑星が最接近

 

ナショナルジオグラフィックから転載

 

ハロウィンナイトに小惑星が最接近

 

 

 ハロウィンの夜、高層ビルよりも大きな小惑星が地球近傍を通過する。通るのは月のすぐ向こうと、すれすれの位置だ。このニアミスは、ハロウィンに宇宙がくれたプレゼントなのかもしれない。

 

 NASAの地球近傍天体(NEO)プログラムに所属する天文学者らがこの小惑星を発見したのは10月10日。最接近のわずか3週間前のことだ。あまりに小さくかすかなため、調査用の大型望遠鏡の範囲に入るまで発見されなかった。

 以降、科学者が毎晩スクランブル体制で小惑星の軌道や形、大きさなどを追跡し続けている。

 

スプーキー(不気味なもの)」と名付けられたこの天体(正式名称2015 TB145)は、直径が290mから650mと予想されている。

ただし、レーダーによる測定ができるようになるまで、正確なサイズはわからない。そして、最も正確な測定ができるのが、最接近となるハロウィンの日だ。

しかし、予想の中間の470mと見積もっても、2013年にシベリアのチェリャビンスク州に落下して派手に燃え尽きた隕石のおよそ30倍もの大きさである。(参考記事:「ロシアの隕石、空前の規模の爆発」)

 

NASA小惑星の経路を計算した結果、地球の近くを安全に通り過ぎることがわかっている。通過時の速度は秒速35kmと、高速で飛ぶ弾丸のおよそ29倍に及ぶという。

米国東部夏時間で10月31日午後1時5分(日本時間で11月1日午前2時5分)、月の軌道の少し外側を通過する見込みだ。

「最接近地点でも、地球からの距離は48万km以上離れているでしょう」と、NASAのジェット推進研究所、地球近傍天体研究センターのポール・コダス氏は言う。

 

ぎりぎりのニアミス

 地球近傍を通過する小惑星は、それほど珍しくはない。今年の1月には、BL86がスプーキーと同じぐらいの距離まで近づいた。

 

次に同じようなニアミスが起こるとわかっているのは、1999 AN10が月の距離を通過する2027年8月だ。

しかし、これまでの経験上、もっと近い将来に同じようなニアミスがあることも十分に考えられる。そこでNASAは、スプーキーを含む天体に今後も注目し、経路予想と将来の危険予測を行う意向だ。

 

 スプーキーのニアミスは、その距離と大きさから、高解像度画像を撮影するチャンスと考えられている。

NASAは、ゴールドストーン深宇宙通信施設の34mのアンテナから電波を発信して小惑星の表面で反射させ、戻ってきたレーダー反射波を米国バージニア州およびプエルトリコ電波望遠鏡で観測する計画を立てている。

NASAにとってこれは、地球近傍を通過する天体の画像を2mの解像度で観測する初のケースとなる。

 

 地球近傍天体は、これまでに約1万3000個が記録されている。しかし、スプーキーと同程度の大きさの小惑星のうち、観測されているものはわずか30%程度でしかないと考えられている。

さらに、30m以上のものに関しては、1%未満と言われる。30mとはいえ、都市を1つ破壊しかねない大きさだ。

 

スプーキーを見るには

天文学の物差しでは比較的近いと言えますが、実際はとてもかすかなため、地球から観測するには最低でも小型望遠鏡が必要でしょう」とコダス氏。

 

 ハロウィンにスプーキーが最接近して最も明るく見える時間帯でも、10等級程度の明るさにしかならない。これを見るには、20cm反射望遠鏡が必要だ。

 

 スプーキー観測のベストタイムは、最接近の前日である10月30日金曜日の夜だ。

そのころスプーキーはオリオン座内を移動している。

 

そして、東部夏時間の翌土曜日午前3時20分に、8等星のHIP 23301(望遠鏡でしか見えない)付近を通過する。どちらも暗い天体のため、自動で天体を追跡するコンピューター制御の望遠鏡があると便利だ。

 

 インターネットベースの宇宙追跡サービス「Slooh」は、カナリア諸島や欧州に設置されたロボット望遠鏡を使ってスプーキーを追跡する予定だ。同サイトでは、東部夏時間の10月31日午後1時(日本時間の11月1日午前2時)から、小惑星通過の様子をインターネット中継する。

 晴れますように!

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